単行本の取材で、ずっと憧れていたカシオペアに乗ることができた。
寝台列車は眠るのがもったいない。
自分なりに計画を立て、少し睡眠時間を確保した。
目が覚めると青森駅のホームだった。
午前1時15分。
夢の中にいるような、ぼんやりとした景色があった。
自分は本当に青森県にいるのだろうかと疑った。
それから札幌駅に到着するまで、ずっと車窓を眺めていた。
睡眠不足と、いつまでも続く雪景色。
一瞬でも窓から目を離すのが悔しかった。
2021年の今、振り返ると
この日の2週間後に東日本大震災が起きている。
そうなるとは知らずに
東北本線沿いの真っ暗な闇の中に、ぽつぽつと浮かぶ
民家の光を綺麗だなと呑気に眺めていた。
どうか彼らが、今も変わらず光を灯していてくれたらと願うのです。
- 青森県青森市
- 2011年2月26日