鈴木さちこ

日本の片隅Photos

TOP日本の片隅 > 北海道稚内市付近

札幌駅から特急スーパー宗谷に乗り
日本最北端にある稚内駅を目指す。
いま、その真っ只中にいることを
メールで誰かに伝えたいと思い
携帯電話を取り出そうとするが
見つからない。
宿泊した札幌のホテルに
忘れてきたことに気がついた。

旅の途中で、連絡手段を失ったショックは大きい。
電話帳のメモリーに頼り
誰の電話番号もわからない。
しかし、3つの電話番号を覚えていた。

ひとつは実家、
ひとつは、現在の1人暮らしの家電話。

もうひとつは
高校時代を一緒に過ごした
恋人の実家の番号だった。

あれから15年以上経つのに
番号が染み付いていたのだ。
自宅の黒電話のダイヤルをまわし
時には、公衆電話のプッシュボタンを押した。
数え切れないくらいの回数を。

窓の外は約5時間、真っ白な世界が続く。
そんな景色の中、昔の日々を思い出すこととなる。
雪が溶けた頃が彼の誕生日だ、と思う。
春生まれの人だった。

 

  • 北海道稚内市付近
  • 2011年2月