美術大学生時代、後輩の地元を訪れたとき
母校の高校に挨拶に行くと言うのでついていった
知らない学校の知らない美術室
知らない誰かが描いた油絵
初めて行ったのに懐かしい匂いがした
後輩はこの教室で
遠くにある美大に入るために
デッサンを何枚も描いていたのだろう
東京には東京芸大、私立の五美大が集まり
同級生は北海道から沖縄まで
日本の隅々からやってきていた
何の不自由もなく実家から
大学に通う東京育ちの私は
自分が何だか甘えているような
気がしてしまった
東京以外のところに生まれたら
上京するだけの熱意があったのだろうか
大学4年生の夏に自問自答した
知らない学校の知らない美術室で
- 鳥取県米子市勝田町
- 1998年8月